カオリちゃん | 専務のため息 | エンゼル調剤薬局

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カオリちゃん

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僕にはカオリちゃんという幼馴染がいる。
いたと言った方が正しいかもしれない。

母親同士が友達で、僕はいつもカオリちゃんと遊んでいた。
カオリちゃんは昔から世話が焼ける子だったが、
むしろそんなカオリちゃんが可愛らしく思え、日が暮れるまで
よく一緒に遊んでいた。

僕とカオリちゃんは地元の公立の中学校に進学した。クラスが
一緒になることは無かったがそれでも一緒に下校したりと仲は良かった。
2人の関係が変わってしまったのは高校に入ってからだ。
カオリちゃんは高校に入り、化粧や髪型の手入れに力を入れ始め
異性・同姓を問わず友達が増えたようだった。

僕はといえば、中学校から変わらない日々を過ごしていた。
熱中したことといえば、剣道部に入り、剣道をしていたことぐらいだろうか。

高校に入学し、B子さんから告白された。B子さんと僕は、中学校のときの
地域ボランティアで一緒に活動しており、告白されたのはこれで二回目だ。
B子さんからの告白は正直嬉しかった。学年でも人気であり、
心優しいB子さんに告白されるなんて考えられなかった。
でも、僕には昔から好きだった人がいたため、有難い気持ちではあったが
B子さんからの申し出を断った。好きな子がいることも伝えた。
けれどB子さんは悲しそうな顔もしないで僕を応援してくれた。
僕はこれを励みに頑張ろうと思っていた。

その頃、カオリちゃんは高校で仲の良い男女のグループで遊びに行ったりと
忙しい日々を過ごしているようだった。僕が話しかけてもそっけない態度だったり
上の空だった。僕はそれでもいいと思っていた。

だが、ある日、陸上部のAと話しているところを見かけたので、
僕も話に入ろうと話しかけたところAに僕のことを
友達か?と聞かれたカオリちゃんは『知らない』とそっけなく答えた。
その後、Aとカオリちゃんは付き合うことになった。
そして、Aから僕への嫌がらせが始まった。今思えば、
イジメというほど大したものではなかったが、それでもその頃の僕には堪えた。

それを機に、カオリちゃんとの思い出を振り返ってみた。
カオリちゃんの何が好きだったのかを、二人の関係を考えた。
カオリちゃんと僕との関係に、答えは出ているんだと自覚した。
カオリちゃんはいつまで待っても僕のところに戻っては来ない。
だから僕はB子ちゃんと付き合うことにした。

誰でも良かったというわけではない。
B子ちゃんは、カオリちゃんとうまくいかない僕を本当に心配してくれた。
こんなに僕を思ってくれているB子ちゃんと、うまくいかないはずはない。
いつまでもカオリちゃんのことを引きずっていては、駄目になってしまう。
だからB子ちゃんと付き合うことを決めた。

B子ちゃんと付き合ってから、カオリちゃんのことは頭の中から少しずつ消えていった。
高校を卒業する頃、カオリちゃんとの関係は話はするが仲がいいとは言えない状態だった。

時は経ち、僕はB子さんと結婚する。
カオリちゃんに宛てた招待状も出した。
あの頃好きだったカオリちゃんに、僕の好きな人を見てもらいたい。
招待状の返事は、まだない。
でも、あの頃の仲の良かったカオリちゃんならきっと来てくれると思っている。

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