<FONT SIZE="2" COLOR="#3300FF">ネットサーフィン中に見つけました</FONT>
自業自得と叩かれる事を承知で。
私にはジュン君という幼馴染がいる。
母親同士が友達で、人見知りだった私は幼稚園から小学校にかけてはほどんど
ジュン君としか遊ばなかったくらい仲が良かった。
ジュン君は外見も成績も運動神経も普通で、本当に絵に描いたような普通の子だった。
でもすごく優しい子で、いつもニコニコしていて遊びに来る時は私の好きなうすあじの
カールを持ってきてくれたり、サイフを落として半泣きになってた私の為に、日が暮れる
まで一緒に探してくれた思い出がある(結局出てこなかったが)。
私とジュン君は地元の公立の中学高校に進学して、クラスは一緒にならなかったけど
同じ学校だった。
異性の幼馴染というと、思春期になると疎遠になってしまうものらしいけれど、私と
ジュン君は一緒に遊ぶ回数こそ減ってしまったけれど、ずっと仲が良かった。
変わったのは高校に入った頃から。
高校デビューという訳じゃないけど、高校で仲良くなった友達に勧められるまま
ヘアスタイルやメークを教わった私は、そこそこ男の子にかまわれるようになった
(小学校中学校時はほとんど空気だった)。
モテた事のない私は、この頃本当に有頂天だった。男女グループで遊びにいったりして
楽しくてしょうがなかった。自然とジュン君ともあまり話さなくなった。
顔を合わせるとジュン君は、明るく話しかけてきてたんだけど、その頃一緒に
遊んでた男の子達と比べて、少し垢抜けない感じのジュン君と話しているところを
見られるのが何だか嫌で、そっけない返事ばかりしてた。
決定的だったのは、女子で一番人気だった陸上部のA君と一緒の時に話しかけられた時に
「何?友達?」と聞かれて、私はつい「しらない」と答えてしまった事だ。
過去に戻れるのなら自分をひっぱたいてやりたいのだけど、あの頃の私はA君に
別の男の子と仲が良いと思われたくなくて必死だった。
その時のジュン君は「あ、ごめんなさい」と、ちょっと寂しそうに笑ってゆっくり
去っていった。その姿を見ても、私は特になにも思わずA君の事だけが気がかりだった。
それから程なくしてA君と付き合い始めた事もあって、ジュン君とはますます疎遠に
なった。それだけではなく、ジュン君が幼馴染だと知ったA君は、ジュン君に小さな
嫌がらせをしていたようだった。
私がそれを知ったのは、嫌がらせを始めてしばらく経ってからだったのだが、それを
知っても、幼馴染に嫌がらせ→愛されてる私! というラリった思考しか出来なく
なっていた。イジメというほど大げさなものではなかったという事もあるけれど。
これは本当に言い訳にしかならないけど。
そうして高校2年になって、私はA君との付き合いにすっかりイヤになっていた。
顔は申し分ないのだけど、中身は本当に子供だった(これは私も同類だ)。
自分の思うとおりにならないとすぐに不機嫌になって、私に当り散らした。
それでも女子一番人気のA君のカノジョというステータスを捨てたくなくて、
ずるずると付き合ってた。
そんな時、ジュン君とB子さんが付き合い始めたというとんでもないニュースが
飛び込んできた(しかも告ったのはB子さんからだった)。
B子さんは同じ学年ですごく綺麗な子で、成績もトップクラスで男子(全学年の)
一番人気の子なんだけど、なぜか彼氏はいなかった。
相手がB子さんという事もあったけど、ジュン君にカノジョが出来たという事実が
なぜか私にはすごいショックだった。
本当に自分勝手な考えなんだけど、私がどんなに冷たくしても彼氏をつくっても
ジュン君はいつも私を待っててくれるような感じがしていた。
体育祭の準備委員になった私は、同じく準備委員になったB子さんと話す機会があった。
近くで見るB子さんは本当に綺麗で、私は声に動揺が出ないように注意しながら、
出来るだけ軽い口調でジュン君の話題を振ってみた。
ジュン君とは、ジュン君が参加している地域ボランティアで高校に入る前から
知り合いで、そこでジュン君を好きになって思い切って告白したが、丁寧にお断りを
されたそうだ。
それでもどうしても諦められなくて自分を一生懸命磨いて、この学校に入ってから
もう1度告白し、それでもお断りされて、今回が3度目の告白だったそうだ。
私はB子さんがそこまでしたという事が信じられなくて、どうしてそこまで!?と
聞き返したら、B子さんの方が不思議そうに
「彼ほど優しい人は見た事ないし、多分これからも会う事ないよ。私さんは
幼馴染なのに気付かなかったの?」と言われた。
B子さんは私の事を知っていた。なぜかと言うと、ジュン君が断る時に言ったそうだ。
「小さい時から好きな子がいるんだ。僕はずっと初恋が続いているんだよ」
B子さんは、私さんがよそ見をしてくれてよかった、とちょっと笑った。
私は家に帰ってから、ずっとベットに寝転んでジュン君の事を考えた。
ジュン君はいつも私の手を引いて歩いてくれた。小学校の頃、クラスの男子に
からかわれても、人見知りの私を学校まで連れて行ってくれた。
手を離してしまったのは、私だった。
意味の解らない涙が溢れて止まらなかった。
来月、ジュン君とB子さんが結婚する。
招待状が来たけど、出席とも欠席とも書けずにまだ手許にある。
カテゴリー:専務のため息